太古の息吹を住宅地で⁉︎ 身近な生きた化石【3選】

ちょっぴり身近な自然を気にしてみると、ちょっぴり幸せな気持ちになれるかも?いつも見ている風景が、毎日違って見えてしまう♪小さなトキメキを実感する!そんな自然系トピックスを紹介します。

子供たちにも大人気の恐竜は、約2億3,000万年前に地球上に出現したと言われています。タイムマシーンがあったとしたら、ぜひ生きた恐竜を観察したいですね。

ですが、タイムスリップしなくても、自宅周辺で太古の息吹を感じることができるんです!

1日10万人が利用する駅周辺で観察できる古代生物を紹介します。

色いろいろな『トビムシ』たち

・季節:一年中
・環境:湿った土のあるところ

わずか1〜2mmほどの小さな昆虫、トビムシ。
日本では、これまでに400種以上が確認されています。

その歴史はとても古く、約4億年前にまでさかのぼります。水の中で暮らしていた生き物たちが、陸上へと進出し始めた時代。なんと、恐竜が現れるよりもはるか昔のことなのです。

多くの昆虫は4枚のハネをもっていますが、当時の昆虫の祖先にはまだハネがありませんでした。
トビムシは、そんな原始的な特徴を今も残す昆虫の一つです。

ハネが無いのに、なぜ『飛び虫』なの?

優れたジャンプ力を持ち主!だからです

トビムシは危険を感じるとピョンと跳ねて逃げます。
また、土の中や樹木の表面など、少し湿った場所を好んで暮らしているため、公園や街路樹、花壇など、身近な場所でも出会うことができます。

そして何よりの魅力的な特徴は、色や形の豊かさ
透きとおるような白や青、イチゴのような赤い色をしたものまで、多彩な種類が存在します。

〜トビムシって何を食べて生きているの?〜

マルトビムシ

トビムシは、土の中でカビや細菌、落ち葉を食べてくらしています。土をきれいにし、栄養を植物に返す分解の助っ人です。さらに、花粉を食べることもあり、花粉の豊富な時期には栄養源のひとつとして利用しています。


ハネをいち早く獲得した昆虫 『カゲロウやトンボ』

約3億年前の地球上ではハネをもたない昆虫たちが、初めてハネを手に入れたと考えられています。

最初にハネをもった原始的な昆虫の仲間が、カゲロウやトンボの祖先です。
彼らは水辺で生活しながら、空を飛ぶという新しい能力を進化させました。

そのさらに後、長い時間をかけて、バッタ・カブトムシ・チョウなど、私たちがよく知る昆虫たちの祖先が登場していきます。

約3億年前の地球では、ハトよりも大きいトンボが空を舞い、軽自動車ほどの巨大ヤスデが地面を歩いていました。酸素の多い大気と、広大なシダ植物の森が、そんな巨大生物たちを育んでいたのです。

カゲロウって初めて聞きました

どんな生き物なのか、簡単に解説しますね

カゲロウ

カゲロウは、「はかない命」として知られる小さな昆虫です。

成虫は数時間から数日で一生を終えますが、幼虫のあいだは水の中で約1年をかけて育ちます。川や池、住宅地の側溝など、様々な水辺を利用しています。


土手で暮らす太古の生き証人『ツクシ』

皆さんの思う「植物の特徴」って何でしょう?
バラ、アジサイ、ヒマワリ…どれもきれいな花を咲かせますよね。

実はツクシ、花を咲かせない植物なのです。
春になると、地面から顔を出すあの姿を見たことがある人も多いでしょう。ツクシは花がないため種子を作らず、胞子でふえる植物。キノコと同じように、小さな胞子を風にのせて子孫を残しています。

ツクシの先端部分をカッターで切ってみると、中には胞子をつくる部屋がぎっしりつまっています。これが、次の世代へ命をつなぐ仕組みなのです。ツクシの胞子は、抹茶粉のような緑色をしています。

ツクシの仲間は、約3〜4億年前には地球上に登場していました。太古のツクシの仲間は、10〜20mを超える巨木だったといわれます。古代の森には、巨大なツクシが立ち並んでいたのかもしれませんね。


まとめ

私たちの身のまわりにいる生き物たちは、かつて超大地震や氷河期、隕石の衝突といった激動の時代を乗り越えながら、命をつないできました。

そんな太古の息吹を感じながら、自然観察してみてはいかがでしょうか。

〜参考文献〜

「A new assessment of Rhyniella, the earliest known insect, from the Devonian of Rhynie」(Paul Whalley, E.A.Jarzembowski /nature, 1981.)

「Biogeography and genome size evolution of the oldest extant vascular plant genus, Equisetum (Equisetaceae)」(Maarten J M Christenhusz, et al./Annals of Botany, 2021.)

「Feeding guilds in Collembola based on digestive enzymes」(Berg M P, et al./Pedobiologia, 2004.)

「In the Early History of Terrestrial Arthropods」( Labandeira, C. C./ Annual Review of Earth and Planetary Sciences, 2005.)

「New light shed on the oldest insect」(Michael S.Engel, David A.Grimaldi /Nature, 2004.)

「Paleobotany and the Evolution of Plants」(Stewart, W. N. & Rothwell, G. W./Cambridge Univ Press, 1993.)

「Phylogenomics resolves the timing and pattern of insect evolution」(Bernhard Misof, et al./Science, 2014.)

「Taxonomy, Distribution, and Trait Data Sets of Japanese Collembola」(Takuo Hishii, et al./Ecological Research, 2019.)

「The Insect Tree of Life」(Engel M S et al./ Annual Review of Ecology, Evolution and Systematics, 2013.)

「The origin and early diversification of land plants」(Kenrick, P. & Crane, P. R./ Nature, 1997.)

「Two new Neanurid Collembola, Paranura and Yuukianura (Neanuridae: Neanurinae) from Japan, with a checklist of species and key to the Japanese genera of Neanurinae」(Hiro Kasai, et al./Zootaxa, 2024.)

「トビムシ分類学上の問題点とトピック」(一澤圭 /昆虫と自然, 2012.)

「日本産等脚目甲殻類目録(予報)」(齋藤暢宏, et al./富山市科学文化センター研究報告第23号, 2000.)

コメント