ちょっぴり身近な自然を気にしてみると、ちょっぴり幸せな気持ちになれるかも?いつも見ている風景が、毎日違って見えてしまう♪小さなトキメキを実感する!そんな自然系トピックスを紹介します。
皆さんは“色違い”というワードに心踊りませんか?なんだかちょっぴりレアな感じがしますよね。
登場する生き物は、絶大な知名度を誇る『ダンゴムシ』です。
ツンツンすると、コロンっと丸くなる様子は、なんだか可愛げがあります。住宅街でも出会うことができるため、幼児からも絶大な支持を受けています。
実はこのダンゴムシ。色違いのレアカラーが存在するのです。
ここでは、都市部でも出会えることができる!?、3種の色違いを紹介します。
よく見かける定番カラー 黒〜灰色


・季節:春〜秋
・環境:湿った土のあるところ
ダンゴムシと一言で言っても日本国内には、114種以上も確認されています。
その多くのは、沖縄県周辺や国内各所の森の中です。私たちが住宅地で最もよく目にするダンゴムシは、オカダンゴムシという種類です。

ダンゴムシは、乾燥や強い日ざしが苦手な生き物です。
植木鉢の下や木の根元、落ち葉がたまった場所など、少ししめったところを探してみると見つけることができます。そのため、雨の降った翌日などは、木に登ったり、壁に張りついている姿が見られることもありますよ。
落ち葉などを食べて、土にかえすお手伝いをしている生き物なのです。

コロンっと丸くなるのは身を守るためなの?

その通りです!
ダンゴムシの背中は硬いヨロイに覆われていますが、お腹や足は柔らかいため、ボールのようにかたくなり天敵から自分の体を守っているのです。
さらに、丸くなることで 体の水分が逃げにくくなり、乾燥から身を守るという効果もあります。強い日ざしや風から身を守るときにも、丸くなることがあります。
〜もともとダンゴムシは日本にいなかった!?〜

オカダンゴムシは、ヨーロッパ原産の外来種です。明治時代の終わりごろ、外国との貿易が盛んになった際に、日本へ入ってきたと考えられています。今では日本各地で見られる“身近なダンゴムシ”になりました。
数千匹に1匹!?幻のブルー『ダンゴムシ』

レア度:★★★☆☆
まるでサファイアのような深い青色をしています。写真のオカダンゴムシは、150万人以上が暮らす政令市の住宅街で見つけました。出会う頻度は非常に低い青タイプですが、都市部の公園でも見つけることができます。

どうしてこんなに青い色をしているの?

ウイルスに感染しているからです
小さな昆虫たちは、いつも捕食者にねらわれながら生きています。
ダンゴムシの体が灰色や黒っぽいのは、目立たない色で鳥などの敵から身を守るためです。
ところが、まれに存在する青いダンゴムシは、イリドウイルスというウイルスに感染している状態なのです。このウイルスは、エビやカニなどの甲殻類にも感染し、体を青くしてしまう性質をもっています。

インフルエンザがダンゴムシに感染しないのと一緒で、人には無害ですよ
ウイルスはちょっとした“作戦”を使って広がります。
鳥に食べられやすくするために、ダンゴムシをわざと目立たせるのです。青い体になったダンゴムシは捕食者に見つかりやすくなり、鳥に食べられることでウイルスが鳥の体内へ移動します。
その後、鳥の排泄物といっしょに出たウイルスを、別のダンゴムシがエサと一緒に食べてしまい、再び感染が広がる――これがイリドウイルスの感染サイクルです。

触っても安心なのですね
〜ダンゴムシだけではない青い◯◯〜

ダンゴムシとよく似た「ワラジムシ」という生き物もいます。こちらは丸くなりません。
イリドウイルスは、ダンゴムシの他にも、ワラジムシなどの生き物を青くする例が報告されています。
宝くじに当選するよりもラッキー!奇跡のカラーダンゴムシ
数万匹に1匹!?伝説のホワイトゼブラ

レア度:★★★★★
脱皮したばかりのダンゴムシは真っ白ですが、時間と共に灰色になります。ですが、ごく稀に白色を維持したまま大人になるタイプがいます。
このダンゴムシが、アルビノ(生まれた当初から黒い色合いがない)状態か否かは定かではありませんが、アルビノのダンゴムシ(一生涯真っ白)も存在します。
まさに奇跡。神話レベルのルビーレッド

レア度:測定不能
筆者は、30年間で1度しか出会ったことがありません。
おそらく、一般的な体色をつくる仕組みに何らかの異変が起こり、その結果として、このような色になったと考えられます。ただし、その詳しい理由やしくみはまだよくわかっていません。
まとめ
出会いは突然。気にしているとレアカラーに出会えるかもしれません。
当たり前のように身近に暮らしている生き物であっても、まだまだ知らないことばかりです。そして、アッ!!と驚くような出会いのチャンスが、すぐ足元に広がっています。
お子様と一緒に、色違いのダンゴムシを探してみても面白いですよ✨
〜参考文献〜
「日本産等脚目甲殻類目録(予報)」(齋藤暢宏, et al./富山市科学文化センター研究報告第23号, 2000.)「遺伝学的手法による外来性ダンゴムシの生態特性の解明」(唐澤重考/科学研究費助成事業 研究成果報告書, 2017.)」
「A new iridovirus of two species of terrestrial isopods, Armadillidium vulgare and Porcellio scaber」(A Cole, T J Morris/Intervirology, 1980.)
「Iridovirus infection in terrestrial isopods from Sicily (Italy)」(Pietro Lupetti, et al./Tissue and Cell, 2013.)


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