外遊び前に2分だけ!今知っておきたい“公園の虫トラブル”

ちょっぴり身近な自然を気にしてみると、ちょっぴり幸せな気持ちになれるかも?いつも見ている風景が、毎日違って見えてしまう♪小さなトキメキを実感する!そんな自然系トピックスを紹介します。

皆さんは、公園で子どもたちと遊ぶ機会が増える季節になると、草むらや木陰に潜むちょっとした“危険生物”が心配になることはありませんか?

とはいえ、むやみに怖がる必要はありません。
どんな虫がいて、どんな点に気をつければよいのかを知っておくだけで、外遊びはぐっと安心できます。

ここでは、公園や道路沿いの草むらなど、都市の身近な自然で出会う「触れてはいけない虫」について、特徴と対処法を紹介します。

言わずと知れた最強の危険生物 『スズメバチ』

危険生物として広く知られているスズメバチ。その大きな特徴は、強い毒性高い攻撃性です。
不用意に近づくと、気づかないうちにスズメバチの“パーソナルスペース”に入り、攻撃のきっかけをつくってしまうことがあります。

うちの近所には雑木林がないから大丈夫…

1日に1〜8kmも飛ぶので、安心はできません

子どもと一緒に気をつけたいポイント

  • 見つけた際は、そっと静かにスズメバチから距離をとりましょう
  • 不用意にスズメバチを刺激しないようにしましょう
  • 頻繁に見かける場所には近づかないようにしましょう

スズメバチは、樹液に集まることが知られていますが、花の蜜も好むため、樹液が少ない場所にも姿を見せます。

公園や人通りの多い道路沿いにも、吸蜜のためにやって来ることがあります。

刺されたときの対処法

1. 毒をしぼり出すように軽く押し、流水で洗う
刺された箇所に毒針が残っている場合があります。毒針や毒液を取り出す処置を行いましょう。

2. 安静に
毒の循環を抑えるため、動き回らずに20分程度、ジッ〜としていましょう。
可能であれば、炎症を抑えるために、冷やすことができればベストです。

3. これはヤバいっ!と思ったら。救急TEL
刺された直後から、もしくは20分経ってから、「息苦しい、顔の腫れ、じんましん、意識がぼんやり。。。」といったヤバい症状が出たら、 救急車を呼びましょう。
また、症状が軽くても、小児科(・皮膚科)または救急外来を受診することをオススメします。

4. 塗る
痛い!かゆい!が治まらなければ、塗り薬を使いましょう(市販薬としても販売されています)。

症状によって、市販薬の効果的な成分が異なります。さらに、幼児は皮膚が薄く敏感なため、市販薬を使用する際には、必ず医師や薬剤師に相談しましょう

〜実はスゴい!?スズメバチの毒は「毒のカクテル」〜

スズメバチの毒には
細胞をこわす成分
強いかゆみやふくらみを起こす成分
神経に作用して痛みを強くする成分
など、働きの異なる成分が入っています。

知らずのうちに病気を運ぶ 『蚊』

蚊は小さな昆虫ですが、注意すべきは病気の媒介です。

日本では、蚊が媒介する病気は少なく、海外に比べて健康への影響はあまり心配ありません。
ただし海外では、デング熱やマラリアなど、蚊による危険な病気が広がっている地域もあります。

子どもと一緒に気をつけたいポイント

  • 特に赤ちゃんは腫れが強く出やすいので、長袖が有効です
  • 肌の露出している部分の虫除けは、十分に行いましょう。
  • 特に海外で伝染病が発生している地域では、ジャングルだけでなく、商店街や市場など人の多い場所にも蚊が多くいるため、しっかり虫よけ対策を行う必要があります。

昔は夏によく刺された蚊も、最近の暑さのせいで活動が少し落ち着いています。都市部では、10月〜11月の暑さが和らいだ日中に見かけることもあります。

蚊は日陰で湿った場所を好むと言われますが、日なたの広場や道路でも意外と見かけます。

卵から成虫になるまでわずか10日ほどと早いため、池や小川がなくても、空き缶やビニールにたまった少しの水で、発生してしまいます。

刺されたときの対処法

1. 傷口をきれいに洗う
雑菌の侵入を防ぐため、まず流水で刺された部分をやさしく洗い、皮膚を清潔に保ちましょう。

2.冷やす
冷たいタオルや保冷剤などで患部を冷やすと、効果的にかゆみを抑えることができます。

3.かゆみ止めを塗る
掻きむしると、皮膚が傷ついて細菌感染(とびひ等)を起こすリスクがあるため、注意しましょう。かゆみが治らない場合は、かゆみの程度を医師や薬剤師に相談し、市販薬を使用しましょう。

4.重い反応が出たら医療機関へ
水ぶくれ、発熱や痛み、熱感がある等の症状が出る場合は、皮膚科や小児科を受診しましょう。

〜蚊の好きな血液型の話〜

蚊は特にO型の人に寄りやすい傾向があります。これは皮膚にあるO型特有の成分が蚊を引き寄せるためと考えられています。

ただし、蚊に刺されやすい理由は、血液型以外にも複数要因あるため、O型だから必ず刺されやすい!というわけではありません

別名:電気虫こと、痺れるような痛み 『毛虫』

春から初夏にかけて、気をつけたい毛虫が“イラガ”です。

明るい色合いの小さな毛虫ですが、触れるとチクッと痛くかゆみを感じます。公園や庭先の木でも見かけることがあり、うっかり触れると思わぬ腫れに…。

子どもと一緒に気をつけたいポイント

  • 緑の葉が茂る生垣を通ったり、低い木の葉に触れる際は、幼虫の有無を確認しましょう

イラガ(刺す毛虫)は、椿・サザンカ・梅・柿・桜などの木の葉の裏にいます。

葉をうっかりつかんだり、木陰でかくれんぼをするときに触れてしまいやすいため、幹や葉に触れる前に確認するよう声をかけると安心です

刺されたときの対処法

1. 刺されたらまず触らない
刺された部分を触ったり擦ったりすると、毛に付いた毒毛が広がり、かゆみや腫れが強くなることがあります。

2. 毒針を取り除く
毛が皮膚に残っている場合は、テープを使ってやさしく取り除きます。爪で押さえたり、こすったりしないよう注意しましょう。

3. 水で洗う
刺された部分を流水でやさしく洗い、毒や汚れを落としましょう。

4. 冷やす
冷たいタオルや保冷剤などで患部を冷やすと、効果的にかゆみを抑えることができます。

5.かゆみ止めを塗る
かゆみが治らない場合は、かゆみの程度を医師や薬剤師に相談し、市販薬を使用しましょう。

6.重い反応が出たら医療機関へ
腫れが広がる、体調不良等の症状が出る場合は、皮膚科や小児科を受診しましょう。

〜トゲがあるから毒がある。。。わけではない〜

毒はなくても、体全体をトゲで覆う生き物がいます。見た目や触感を利用して、天敵から身を守るユニークな防衛方法ですね。

◀︎柔らかいトゲをもつ、無毒の幼虫(テントウムシ類)

まとめ

虫や植物に刺されたときは、まずは慌てずに対処することが大事です。

流水でやさしく洗って、冷たいタオルや保冷剤で冷やすだけでもだいぶ楽になります。かゆみが続くときは市販薬を使ったり、症状がひどいときは迷わず病院へ行きましょう。

「もしもの時にどうするか」を心構えをしておくだけで、自然遊びも安心して楽しめますよ。

〜参考文献〜
「A bionomic sketch of the giant hornet, Vespa mandarinia, a serious pest for Japanese apiculture」(Makoto Matsuura & Shôichi F Sakagami /Journal of the Faculty of Science, 1973.)

「Bioactive Peptides and Proteins from Wasp Venoms」(Lei Luo, et al. /Biomolecules, 2022.)

Landing Preference of Aedes albopictus (Diptera: Culicidae) on Human Skin Among ABO Blood Groups, Secretors or Nonsecretors, and ABH Antigens」(Yoshikazu Shirai, et al. /Journal of Medical Entomology, 2004.)

「アカイエカ(CULEX PIPIENS PALLENS)幼虫の飼育個体密度と生長速度」(石井 孝 /日本生態学会誌, 1963.)

「ヒトスジシマカ Aedes albopictus の生態知見」(松沢 寛, 北原 洋生 /衛生動物, 1966.)

日本医師会ページ

横須賀市消防局救急課ページ

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